【お悩み相談室】第4回 なぜ地道なトレーニングが必要なの?
みなさんこんにちは、
今回も以前ご質問された内容についてお話します。
なぜもっと具体的な歌唱方法ではなく地道に裏声トレーニング等を行っていくのか、
単純に歌い方を教えてくれたら歌えるのではないか、といった質問でした。
(毎回のことですが、今回も少々マニアックな話かもしれませんね。)
なぜなら、喉の機能という点においては、 我々の文化の発展と逆行して、衰えていく道をたどっているためです。
時を遡っていくと、 声でコミュニケーションをとっていた時代がある一方、 現代は声を出さずとも、あるいは小さい声でコミュニケーションが成立します。
例えば文字であったり、離れた人と会話するのに大きいを声を出す必要もなく、ある程度離れていたら電話で会話したり、といった具合ですね。
こうなると日常生活で声を出す機会は減り続けますし、とりわけ大きな声に関しては
ご近所迷惑と言われる等、全く出番がありません。
また、文字がなかった時代まで遡りますと、 様々な種類の声を使い分けなければコミュニケーションが成立しま せん。
わかりやすいところで言うと鳥などは鳴き声でコミュニケーション をとっており、 一種類の声をただ出すだけではなくリズミカルに刻んだり、 高さが違ったり、様々な声を出していますよね。
そのように日常生活の中で様々な声を出していた時代に比べると、 現代の人々が声を出す機能について低下してしまうのは避けようのないことです。
そしてその日常生活でどの程度の発声を行っていたのか、これにはまたさらに個人差が生まれます。
みなさんも学校などで経験ありませんか?声の大きい子がいる一方で、ほとんどしゃべらない子もいたのではないでしょうか?
至極当然のことを言いますが、 声を出すためには色々な筋肉を使います。
ただし、筋肉というものは使わないと衰えていきます。
筋肉が衰えたり、 筋肉の使い方がわからないと上手くできないのは当然のことですよ ね?
極端な例を申しますと、
腕の筋肉がムキムキで、 腕相撲のやり方を熟知している腕力が強い方がいたとして。
トレーニングをしたことがないみなさんが、腕相撲で勝てるか。どうでしょう?
残念ながら勝てなさそうですよね。
強くなれませんよね、まずは自分に合った強度のトレーニングが必要ですよね。
当然腕と喉では話が違いますが、「自分に合ったトレーニングが必要」この点を理解していただくにはわかりやすい例えだと考えています。
喉の機能がどの程度使えるかという部分においても非常に個人差があります。
特別なトレーニングを行っていない人同士を比較すると、日常的に使っている声が違いますから、それによって個人差が生まれるわけです。
そういった思考回路で焦らずきっちりトレーニングをやっていきましょう。
とは言いつつも、可能な限り近道をして、最短ルートで出したい声を出せるようにするのもまたボイストレーナーの仕事と考えております。
みなさんの現状の状態と喉の機能の開放具合、筋肉の力と、みなさんが目標とする声のギャップを埋めるためのトレーニングです。
可能な限りお力添えできたらと思います。
さてかなり長くなってしまった上に少々脱線してしまいましたが…本日はここまでとします。
以上、Divaluxe渋谷校インストラクターの渡邊汐でした。