ボーカル教室 Divaluxe 渋谷校

ボーカル教室 Divaluxe 渋谷校です。

トレモロ、振戦について

はじめまして。

Divaluxe オーナーの角田紘之と申します。

マニアックな話しを一つしたいと思います。

トレモロ、振戦、ちりめんビブラート、Voce tremante、Vocest tremulaといわれる音声的な動きになる人が存在します。

いわゆる"震え声"ですね。

一番、トレモロと呼ばれることが多いと思います。ただ、特に日本ではあまり良い意味では使われないことが現状です。

トレモロで発声、歌唱していると、緊張するな!とか、響きが乏しい!とか、音程が高い!とか言われて、『早くなおすように』と急かされることが多いのではないでしょうか。

ただ、この声をだすタイプの方の場合には、この言葉そのものが逆効果を生んでしまう。

この音声的な動き、震え声自体が直接喉に悪いわけではないけれども、日本の音楽市場の中では好ましくないという方々がいらっしゃるということですね。

私は、トレモロ、ちりめんビブラート、振戦、Voce tremante、Vocest tremulaと呼ばれている音声、震え声を自分で把握できているのであれば、個性として受け入れる、逆に強みに変えるのでも良いと思います。例えば、シャンソンのピアフとか、邦楽の宇多田ヒカルとか。

ただ、そうも言ってられない場合もあるので、今日は少し震え声を掘り下げてみようと思います。

◇震えのタイプは大きく分けて3通り

◆一つめ

老齢が原因で喉の随意筋、不随意筋が過緊張を伴った震え声

◇解決方法

このタイプは、少しの震え等は致し方ない部分はあると思います。ただ、変な姿勢で凝り固まっていることや、同じ喋り方で喉が固まってしまったことによっての筋肉の過緊張の可能性が高いので適度に体を動かす、もしくは動かしながら発声をする、いろんな声で喋ってもらう等が効果的でしょう。

◆二つめ

神経的な過敏症、不安感等(本番失敗しないかな、自分の声ってなんか恥ずかしいんだよな等)が先立ち、発声に関与する喉の随意筋と不随筋の伝達が乱れ、過緊張を伴った震え声

◇解決方法

"自律神経系の調整"、"不安感の除去"が先決です。オキシトシンホルモン、セロトニン神経伝達物質が不足しているので、できるだけ補っていくことをオススメします。ただ、全部取り除こうと思ってもいきなり取り除けるものでもないです。

オキシトシンの増やし方

オキシトシンの増加で不安感が除去される)

通称 "母性ホルモン"

どんな性別の方も分泌

・信頼している人と握手、またはハグ

・ペット、もしくはぬいぐるみを抱く

・仲の良い人との会話

・相手に共感すること、されること

・ボランティア

・嗅覚刺激 【男女差ありそ】

セロトニンの増やし方

通称"幸せホルモン"

•食事 トリプトファンが豊富な食材を食べる。

大豆、牛乳、豚ロース、マグロ、カツオ、バナナ

ハチミツ等。

•リズム運動

歩行、ジョギング、縄跳び、お手玉、ドラム、貧乏ゆすり等。

•日光に当たること。

◆三つめ

一つ、二つめのタイプの単純な過緊張によっての震えのタイプではなく、アイソメトリック(等尺性筋収縮)のような筋肉の抵抗状態の後、弛緩状態で始まる生理的振戦を伴った震え声。簡単に言うと、ずっと同じ状態にするという"抵抗感"、"安定感"からの解放によってのでてくる震え声。

◇解決方法

自分が震えているのか、真っ直ぐであるのか認識できていない人が多く見受けられる(力がはいっているタイプではないので気づきにくい)ので、発声、もしくは歌を録音してまずは自分で良く聴いて、把握することが重要です。

把握することができたら、まず、わざと震え声を発声する。言葉として正しいがわからないが、安定した震え声。

安定した震え声出し方

•短い時間0.5秒くらい

•呼気圧を少なめ、音量も弱め

•グロッタル系

•あ の母音

慣れてきたら

•長めの時間1.5〜2.0秒くらい

•呼気圧を少し強め、音量も強め

•グロッタル系

•全母音

で、できるようにしていく。

つぎは、安定したストレートトーンの出し方

•短い時間0.5秒くらい

•呼気圧を少なめ、音量も弱め

•H起声またはSmooth起声

•おの母音

•長めの時間1.5秒くらい

•呼気圧を少し強め、音量も強め

•H起声またはSmooth起声

•全母音

この二つの表裏一体的に声を認識していくことで、使い分けができるようになる。

◇三つのタイプにも属さないタイプ

●本態性振戦

本態性振戦の本態性というのは"よくわからない"という意味で、よくわからない震えということになります。βブロッカーとか、精神安定剤を用いることで震えを軽減させる方法とか、震えに関する場所(確か海馬の横あたりだったっけ忘れた)に電気信号をあたえて破壊する治療法とかがあります。特に、手が多いと言われていますが、喉の筋肉にも起こるとされています。

甲状腺機能亢進症

(パセドウ病)

甲状腺ホルモンが過剰にでて、震えがでる病気。

原因は未だよくわかっていないみたいですが、声が震えることもあります。

●アルコールの過剰摂取

●薬(喘息、気管支拡張剤、精神疾患うつ病に対する薬)

これらのタイプになってくると、ボイストレーナーが介入どうこうの話ではなくなるので、病院、病院同等の専門機関へいくことをオススメします。

今まで話した全部の震えのタイプの中で、どの震えになるのかというのを見極めるのは至難の業ではありますが、その震えている人、または、自分のことを".良く知ること"、その人の中身、バックグラウンドを知るで可能になっていくと思います。わからなければ習っているインストラクターに聞いてみるのも良いと思います。